緻密なディテールが実現する、骨太のストーリー。未来と過去を自在に行き交う、迅のシルバーアクセサリー
アクセサリーには、さまざまなデザインがある。
装飾性を重視したもの、伝統を背景にもつもの、素材の魅力を追求したもの。
数あるアクセサリーのなか、ひとつ異なる視点をもつのが、「迅(じん)」。
2026年に誕生した、シルバーアクセサリーブランドだ。
迅のコンセプトは、
「Wear culture. Live art. Create luxury.(カルチャーを纏う。それは日常をアートに変え、ラグジュアリーを描くこと)」。
時代の変化に流されず、自分の「好き」を選び取り、磨き上げ、世界に向けて解き放つ。迅のクリエイティブは、個性と自由の象徴だ。
迅を迅たらしめるブランド哲学について、トータルブランディングデザイナーの堀野 裕之氏に話を聞いた。
緻密×気品のバランス
シルバーアクセサリーというと、男らしさや武骨なイメージを思い浮かべる方が多いと思います。
迅は少し違う立ち位置を目指すブランドで、日本が世界に誇るカルチャーや美意識を背景に、現代のプロダクトとして表現しています。
ブランドのテーマは「緻密 × 気品」。
緻密は、日本のアニメやコンテンツに見られる、細部まで作り込まれたディテールの世界観。気品は、日本の文化に根付く静と動。力強さと洗練の共存です。
変化の速い現代社会を生きる人が、周囲に流されるのではなく、自分のスタイルを選び取ることができるように。変化を楽しみながら、しなやかに、自在に前進できるようにデザインしました。
AkiraやMobile Suit Gundamをはじめ、世界に影響を与えてきた日本のコンテンツには、未来都市・高度なテクノロジー・AIなどのキーワードが登場します。
そして、こうした作品に登場するデザインの共通項は、ディテールへのこだわり。プロダクトの細部にまで張り巡らされた思想が、作品のクオリティを支えています。
偉大なる作品が築き上げた、Japanese Subculture。迅のアクセサリーもまた、構造と細部に宿るディテールを大切に設計しました。
テクノロジーと記憶が融合する、Cyber Relic
現在展開しているのはCyber Relic(サイバーレリック)。“未来文明の遺物”を表現したシリーズです。
遠い未来。高度に発展した文明が消えたあと、その断片だけがどこかに残っている。手にした人が、そんなストーリーを思い描けるようにデザインしました。
Cyber Relicの特徴は、複数の面をまたぐ直線のライン。プロダクトライクな機能美を、職人の繊細な手作業で実現しています。
糸魚川翡翠を独自のルートでプレート状に加工し、使用しています。
翡翠は、日本の歴史の中でも古くから使われてきた石。勾玉などにも用いられ、日本の文化を象徴する素材のひとつです。
「未来文明の遺物」というコンセプトに、日本の伝統文化を象徴する石を組み合わせることで、時間のレイヤーを重ねるような表現ができるのではないかと考えました。
未来的なデザインに、過去から続く素材を配置する。この対比も、Cyber Relicの特徴のひとつです。
緻密なディテールを実現する職人の技術
Cyber Relicは一見シンプルですが、実際の加工は非常に繊細です。
少しでも角度や圧が変われば、面が歪んでしまう。職人が一つひとつ手作業で削り、光にかざし、確認しながら調整しています。
リング、ペンダントのメインストーンに配置した翡翠は、
15mm × 15mm × 3mm。
シルバーにも同じサイズの凹みが必要です。
わずかでもズレがあると、石が入らずに浮いたり、隙間が見えたりする。
直線と角のある構造は、ごまかしがきかない。シンプルな形ほど、精度が求められます。
Cyber Relicには、上面から側面へと続くスジ彫りが入っています。
一見すると一本の線ですが、実際の加工は、上面と側面それぞれを彫り、その接点を正確に合わせるというもの。
わずかなズレでも線が折れて見えてしまうため、非常に神経を使う工程です。
また、研磨では面や角に丸みを出さないように注意します。
通常、研磨機は丸みを作ります。しかし今回のデザインでは、平面や直角を保つ必要があります。
職人は途中で研磨を止め、手作業で仕上げていきます。そうした作業の積み重ねが、デザインの印象を形作っています。
アクセサリーの新しい在り方
迅が提供するのは、装飾品としてのアクセサリーではありません。価値の中心にあるのは、緻密×気品。
シンプルな構造体に存在する緻密な設計、直線・平面という無駄のない流れが表す気品。
手間と時間がかかる構造を、一つひとつ実現する。その過程から、力強いストーリーやしなやかさ、自由な感性が生まれると信じています。
日本のカルチャーを、直線構造から生まれる機能美に落とし込んだ、迅。
シャープなエッジから生まれる緊張感、緻密なディテールが支えるストーリー性。
カルチャーを纏う、という世界観の中で、アクセサリーの新しい在り方を探っている。
この先どう進化するのか、目が離せないブランドだ。
(取材・文:ジェイウェル編集部)