シルバーと共に、時を刻む。メンズジュエリーのパイオニアM'S COLLECTION
独創的なデザインと、仕上げまで完全国内生産というジャパンハイクオリティの体現で、熱狂的なファンを抱えるM’S COLLECTION(エムズコレクション)。1980年代に創業した、シルバーアクセサリーの草分けとも呼べる存在だ。
現在でも店頭で接客を行うブランドディレクターに、M’S COLLECTIONの歴史やデザインのこだわり、シルバーへの想いを聞いた。
シルバーアクセサリーのパイオニア
1987年に、アクセサリー工房として名古屋で誕生しました。シルバージュエリーブランドの老舗と呼べると思います。
コンセプトは創業当時より一貫して変わらず、既成概念にとらわれないこと。ちょっと捻ったもの、尖ったもので、他ブランドと一線を画すというのは意識しています。
店頭は20代~40代の男女で、自分用に買われる方が多いですね。昔からファンでいてくださる方、ふらりと立ち寄られた外国人旅行客、予算を決めて初めてのシルバーアクセサリーを買いにいらっしゃる若い方…様々です。
M’S COLLECTIONは歴史が長い分、有名ロックミュージシャンとのコラボなど、様々な企画を経験してきました。50代以上の方が、懐かしんで手に取ってくださることもあります。
シルバーアクセサリーブームが始まる前から、国内でメンズジュエリーを作り続けてきたM’S COLLECTION。その尖ったデザインは、老舗の保守的なイメージとは裏腹だ。創業からの独自路線が、今もなお、新たなファンを増やし続けている。

M'S COLLECTIONが貫く“らしさ”
コレクションはトレンドを意識しつつ、M’S COLLECTIONらしさを出すようにしています。定番人気は、TENTACLES(テンタクルス)やFEATHER(フェザー)。どちらも定番のモチーフですが、尖った感じになっています。
TENTACLESはラテン語で触手のこと。実際に触れて探るという感じで、探求心や好奇心をイメージしています。無脊椎動物をイメージした触手を十字架やスカルに巻きつけていて、立体的な造形美を楽しんでいただけるシリーズです。

FEATHERはインディアンジュエリーで定番のモチーフ。M’S COLLECTIONでは、エアリーな質感と立体感をシルバーで表現しました。裏面までの精緻な細工を職人が一点一点丁寧に仕上げているため、本物の羽根を思わせる美しさです。

ほか、少し昔のパンクロックファッションをイメージしたOFF THE WALL(オフザウォール)は、南京錠や安全ピンがモチーフ。身につける人の力になるよう、メッセージ性のある刻印を入れています。
ブランド30周年記念のTRIPLE X(トリプルエックス)は細かなスタッズで大人ロックを表現。比較的手に取りやすい価格帯なこともあり、若い方にもご愛用いただいています。
ジェイウェル取り扱いだけで700点を超える、豊富なラインナップ。国内の自社工房で制作するため、1点から発注できるという。ぶれないM’S COLLECTIONらしさが多様なデザインを内包し、ブランドの世界観を形作っている。
経年変化で深みを増す、シルバーの魅力
M’S COLLECTIONのアイテムは多くがいぶし銀なので、液体ではなくシルバークロスでのお手入れを推奨しています。シルバーアクセサリーのいいところは育てられること。お手入れを楽しみつつ、自分だけの色を出していってもらえれば。
シルバーが少しずつ黒ずんでいくのは、空気中の硫黄等に反応してできる硫化膜。サビと違って、定期的なメンテナンスで落とせます。あえて1年くらいは最小限のメンテナンスに留めて、硫化膜をしっかり作ってから表面を磨くと、ヴィンテージ風のすごくいい雰囲気になりますよ。特にテンタクルスやフェザーは、店頭で「この部分は磨きすぎない方がいいよ」なんてアドバイスすることも。
お手入れ次第で、シルバーアクセサリーはほぼ永久的に使える。プレゼントにもいいですよね。もらったものを肌身離さずつけていると、その人だけの色になる。人と共に時間を過ごして成長するというのが、シルバーアクセサリーの大きな魅力だと思います。
愛好家にとって、メンテナンスは趣味の時間だ。自分好みの輝きになるよう、時間をかけて育ててゆく。アフターケアという体験が、シルバーアクセサリーを特別なものにする。

シルバーアクセサリーとM'S COLLECTIONのこれから
最近、シルバーアクセサリーが改めて評価されてきていると感じます。良い素材としてもっと世の中に認知されてほしいし、その中でもM’S COLLECTIONが選ばれるよう、クオリティやデザインが評価されるといいなと思います。
ステンレスをはじめとした様々な素材がアクセサリーに使われるようになりましたが、M’S COLLECTIONはシルバーにこだわりたいと思っています。シルバー特有の経年変化や温かみを大事にしたい。昔から好きでいてくれるファンの人たちも、それを望んでいるんじゃないかなと思うんです。
頑固なだけかもしれないんですけど、M’S COLLECTIONはそういうブランドでありたいですね。

終始軽妙な語り口でインタビューに応じてくれたディレクター。最後にぽろりとこぼれたシルバーへのこだわりは、M’S COLLECTIONとファンが長い歴史のなかで築き上げた、ブランドの魂と呼べるかもしれない。
M’S COLLECTIONのアクセサリーは、真に個性を求める人のためにある。
芸術性の高いデザイン、素材へのこだわり、そして繊細な造形美。そのすべてが、量産にはない特別な存在感を放っている。一つひとつに時間と手間を惜しまない姿勢こそが、M’S COLLECTIONの真価だ。
静かな夜、ウイスキーを片手に矯めつ眇めつしながら、丁寧に丁寧に磨いてゆく。自分の理想を追い求める、自分だけの特別な時間。M’S COLLECTIONは、誰もが憧れる大人のシルバーアクセサリーだ。